こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。3回に渡って記録してきたミャンマー渡航記録は今回のDAY4で一旦、最終回を迎えます。その後譚としましては、我々中部ウェルフェアサポート協同組合は無事ミャンマーの送り出し機関数社と契約を結ぶ運びとなりました。介護・建設・製造に関しての外国人材雇用のお問い合わせも承っておりますことをここに書かせていただき、渡航記録の〆としたいと思います。
DAY4 2022.12.15
滞在最終日。訪問先は前職時代に会社が所属していた民間団体時代に面識があったミャンマー人の紹介を受けた送り出し機関。当人は私たちと入れ違いで日本に行ってしまっていたため現地で会うことはできなかったが、1日のスケジュールをしっかりと組み立ててくれていた。
ホテルのチェックアウトを済ませ、迎えに来てくれたアルファードに乗り込み走行すること約20分。目的地の学校があるストリートに到着した。車2台がすれ違える程度の幅にプラスして、路上駐車の車が両サイドにひしめき合っているのはヤンゴンの裏通りの日常的な風景で、4~5階建ての建物がくっつくように並んでいる。
イメージとしては香港の裏通りに近いのかもしれないが、今日訪れた送り出し機関は、このストリート沿いにテナントのような形で教室を間借りしていて、その数13クラス(訪問当時)。1クラスは約40人で、1日4回レベルを入れ替えた授業が行われるので、ざっと2,000人強が同校にいることになる。
正直1クラス単位の人数が多すぎるという感は否めず、教師1人が対する生徒数としては限界を超えているという印象はある。ただその分、こうした中から上のクラスへと進んでいく生徒は自ら学び、力を蓄えているのだろうと思うと、「競争」の気持ちが退化していると感じる日本に比べれば、頼もしくも思える。
生徒たちの希望の職種は、建設や自動車整備、食品加工や介護など様々な職種があるのは当然だが、なかでも「介護」が突出して多いというのは事実であり、実際N4を修了したクラスの生徒に挙手をお願いしたところ、40名近い生徒のうちの9割が「介護」の仕事を希望していた。
▽外国人介護人材定着に必要なこと
現在の流れとして、技能実習と特定技能という制度の2本が主な介護の受け皿として機能しているなかで、同校には特定技能「介護」の試験も修了し、日本からのオファー待ちの生徒が100人以上いるというのはある意味驚いた。日本を見ると、すでに大手事業所などは外国人の獲得に動いており一定のノウハウを有している。
今後、彼・彼女らを必要とする事業者は中小規模の事業者であり、こうした事業者は申請書類を手配するだけでも大変なことなのかもしれないと思うと、こうした部分をフォローしていくことは一つのビジネスチャンスになるのではないかと考えている。
もちろん、事務的な作業ばかりでなく、相手の国の理解を欠くことはできない。医療や介護は人がひとをケアするサービス提供ではあるが、場面としては個人とこじんによる関係でサービスが行われていたとしても、実際には多職種が一人の患者、ひとりの利用者を支援しているということは、地域包括ケアシステムという考え方のなかで定着してきた。このあたりを入国する側も、受け入れる側もしっかりと認識して、コミュニケーションをとっていくことが、外国人介護人材の定着と成功には欠かせないと思われる。
▽おわりに
最後に、7年ぶりに訪れたヤンゴンは空港が拡張されていた以外は、まるで時間が止まってしまっていたようだった。21年2月に起きたクーデター後、若い人たちの仕事の機会は非常に少ないそうである。このことが外国人材を受け入れる理由にはならないが、厳しい競争環境をくぐろうとしている彼・彼女らが私たちに与えてくれることも、きっと多いのではないかと思う。
今回の渡緬は考えさせられることが多い旅になった。まだ独立したての一個人事業主ではできないことがあまりにも多く歯痒さすらあるが、自分のできることを着実に行っていくなかで、次の機会を捉えられるよう準備していきたいと思う。