BCPを地域に根差すという視点から考える

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。

地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが進められています。病病連携、病診連携、医介連携をはじめ、介護療養病床の機能強化型や介護医療院では、「地域貢献活動」への取組みをすることが、その算定要件にもなっています。

この場合の地域貢献活動とは、地域住民への健康教室や認知症カフェなどを介し、地域の高齢者や地域住民との交流を促進し、高齢者に活動と参加の場を提供するようなものを指しています。

 

▽後回しにできないBCPの作成

ところで、医療機関には災害拠点病院であるないを問わず、災害が発生したときには民間の医療施設であったとしても、その堅牢な建物を頼りに一時的に地域住民が集まってくることが考えられます。実際、私が病院に勤務していた時代に発生した東日本大震災を機に、私たちの病院は自治会との関係を深めていきました。

また、地方の山間部に所在するある病院の看護部長は、セミナー等を介して知り合った他県の看護部長を介してその病院と提携し、「災害時にはヘリで物資を運んでもらい空から数日間分の非常食を提供してもらえるよう取り計らった」という話を聞いたことがあります。山間部であっても、土砂災害等があれば、道路が寸断される危険があることは、昨今の自然災害の記憶を辿れば、その危険性は想像に難くありません。

 

▽地域に根ざすということとBCPについて

介護保険では介護保険事業を運営する事業所に対し、BCPの作成を23年度末までに行うよう要件化されていますが、医療機関ではまだ災害拠点病院以外への義務付けはなく、一般病院ではDPC対象病院において、BCPをつくっておくことで機能評価係数が優位に働く以外ではまだ大きな動きはありませんが、早晩作成しなければならなくなることは必須です。

しかし規模がそれなりになればなるほど、作成プロセスは複雑で決めるべき事項は多くなることから、策定に二の足を踏んでいる医療機関も多いかもしれません。しかし、災害はいつ訪れるかは誰にもわかりません。そのため、優先順位を決めてできることから取り組んでおくことが重要です。

 

BCPの作成において、決めなければならないことは多岐に渡ります。

災害が発生した場合でも、病院へ駆けつけられるスタッフは誰か。食料や水はもちろん、薬剤や医療材料はどのくらい余裕をもたせているのか。緊急を要する患者の要求にどこまで応えることができるのか等々。

また沿岸部・山間部・都心部といった医療機関等の立地によって、被害の想定も、またそこからの復帰のスピードにも違いがあることが推定されます。

最低限の優先順位をつけて、災害対策を検討しておくことが有効ですし、有事に備えて日ごろから、地域と連携しておくこと。これも、地域に根ざすという意味の一側面ではないかと考えます。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です