コンプライアンスの狭間にある大切なこと

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。

コンプライアンスは、法律や社会的な通念を守ることを指し、法令遵守と訳されます。最近では企業の社会的責任CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉をよく耳にしますが、コンプライアンスに違反した企業は法的損害のみならず、信用の失墜によって、売上低下といった社会的責任を負うことになります。

つい最近では日野自動車のエンジン不正問題が、また以前から食品表示の偽装や製品データの不正・改正といったものがニュースになることが多いですが、行政から医療機関へ対して行われる立入検査や適時調査、あるいは介護施設への実地指導といった類は、こうしたコンプライアンス違反に至らないよう、行政から医療機関へ行われる指導の機会だと理解しています。

 

 

 

▽コンプライアンス違反の抑止力

ここで海外に目を向けてみると、日本の医療制度と違って株式会社によって病院運営が通常の形態として行われていることがあります。こうした病院の場合、資金を集めるために一部上場し、病院の格付けともいえるJCI(Joint Commission International)を取得し、世界標準の取り組みを行っていることをアピールすることで、投資家へ自院の取り組みの優位性を訴えかけることができます。このようなケースでは、資金調達をより優位に進めるために企業が社会的責任を果たしていこうとすることが、コンプライアンス違反の抑止力として働いていると理解することができます。

 

 

ところで、医療機関で多くみられるコンプライアンス違反には、請求に関わる部分が多くを占めています。架空請求や付増請求といった不正請求、また人員などの診療報酬請求上の要件を満たしていない不当請求で自主返還を迫られる医療機関は後を絶ちません。

適時調査や実地指導では調査視点の標準化が進められている一方で、社会保障の逼迫を受け、細かい部分の指摘が増えている印象もあります。とくに、医療保険と介護保険の併用に係る請求領域では注意を払いたいところです。

また医療広告に関する規制が強化されたこともコンプライアンスに関連しているといえるでしょうが、行き過ぎた規制はかえって医療機関ごとの特徴を分かりにくくすることが懸念されます。広告広報を担当する人は「やってはいけないこと」を抑えたうえで「如何に自院の特徴をだせるか」ということが、一つの鍵になっていると認識しています。

 

▽ときには大胆に

少子化や地方偏在が進むいまは、自治体自身が優秀な人材を広報部門に配置し、地域の魅力を積極的に発信している時代です。いまやウェブ媒体は増患を目的とした対患者目線だけでなく、求職者に対するアピールという面でも重要になっています。

コンプライアンスが遵守されたうえで、時に大胆とも思える行動をとっていくことが、差別化の第一歩になるのではないかと考えています。

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