定着率の向上ということについて

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。

少し前のことになりますが、コロナ禍で価値観が変化しているとして、アメリカでは「大離職時代」と言われる現象が起こっているというニュースを見ました。日本も終身雇用制度が時代にそぐわないものとなるなか、転職する人の割合が増えているという声をよく耳にします。

私個人の意見としては、私自身が転職を多く経験していることもあり否定する立場にはなく、またある程度人材に流動性があることは良いことだと思っています。

良い面としては新たな知識や手法を得られること。これは、雇用者・被雇用者の両者にとって同じようにメリットがあります。一方で、困るのは離職率が高い組織。こうした組織は、生産年齢人口が減少していくなかで、遅かれ早かれ労働力の不足と採用コストの増加に悩むことになってしまうことが懸念されます。

 

 

 

▽退職理由を私心なしに把握する

さて、医療機関に目を向けてみると、専門職としての資格と経験があれば、多少の違いこそあれ制度や手法に大きな違いはないことから、多くの人が転職を経験しているものと思われます。

病院看護師の離職率は、2012年以降、正規雇用者で10%程度、新卒者の場合で7%台という間でここ数年は推移しています。離職率は一般に「離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100」で算出されます。

 

 

 

この基準が高いか低いか、また転職の良し悪しは別にして、考えなければならないのは「なぜ離職してしまうか?」ということにあります。とりわけ、新人職員で多い退職理由には次のようなことがあげられます。

 

①職場の理想と現実との乖離(リアリティショック)
②技術の習得困難
③上記に端を発する人間関係

 

 これらについては、必ずしも新卒者に限られたことではないかもしれません。

「入職前に聞いていた話と違う」などのよく聞く話は①に相当しますし、マニュアルや教育体制がないところは②の環境を生み出し、結局個々人の経験やスキルで日々現場は廻っている、ということも良くみられます。

結果、これらをよく思わない人との間で、③の人間関係が上手くいかない、といったことに発展しがちです。

 

 

▽定着率向上の鍵

離職理由のうち「出産・育児のため」「結婚のため」といった生活ステージの変化は除外するとしても、自院の退職理由の傾向ということについては、客観的に把握をすることが欠かせません。

金銭的事項や家庭の事情等退職理由にあげてくる人は一定数いますが、その裏に隠されている“言えない本音”を拾えるかどうかは、普段の職員との関係性が重要な鍵になります。

本人からは聞けないとしても、周囲で仲の良かった人から聞けるかどうか、そしてそれらを飲み込んで、改善していけるかどうか。

 

 

①~③をみると、マニュアルや教育体制(研修)の整備が重要なことが分かります。「Aさんに聞いたやり方と、Bさんに聞いたやり方が違う」というシーンはどうしても発生しますが、この時の拠り所となるのがマニュアルであったり、ガイドラインであることを鑑みれば、これらを整備することの重要性が理解されます。

 定着率向上の鍵は、真摯に退職理由と向きあうなかで、自らの取り組みを改善していくことにあるのではないかと考えています。

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