前回は経費削減2つの考え方「コスト絶対額の削減」と「単位当たりコスト削減」のうち、前者の「コスト絶対額の削減」について説明しました。
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今回は「単位当たりコスト削減」について書いてみたいと思います。
▽単位当たりコスト削減とは
「単位当たりコスト」は製造業でよく使われる言葉で、製品の単位量あたりの価格のことを言います。簡単にいうと、材料や部品の仕入れ価格を生産数で割ることで単位当たりコストを算出します。
医療・介護などの労働集約的な産業においては、単純に「職員1人が(一定の)時間当内でより多くのコトができる」ことと置き換えられます。少ない時間でより成果をあげることを言い、「生産性向上」に置き換えるとしっくりくるかもしれません。
病院でもっとも大きな費用である人件費について、限られた時間の中でより成果を上げることを、単位当たりコスト削減と言います。
具体的には、
・業務のフローの見直し
・役割の見直し(タスクシフト/タスクシェア)
・一人ひとりのスキル向上
そして、「Digital Transformation/ DX」に取組むことで、単位当たりコストを削減することができます。

▽攻めのコスト削減
生産性とは、そもそも労働や設備・材料といった生産要素における産出物の度合いであり、計算式のイメージは
<生産性=産出物(output)÷投入量(input)>
です。
少ない時間で業務を終えられれば、余った時間を別の業務に割り当てることができます。
「カルテ記入にかかる時間を短くすることで、直接的なケアにあたる時間を増やすことができる」などは、この典型といえます。DX全盛の昨今。機器の力を借りて生産性をあげることはとても有効ですが、一方で私たち一人ひとりの「地力」をあげることが疎かになってしまっては、本当の意味で生産性を上げていることにはならないとも思っています。
単位当たりコスト削減は、単に費用を抑えることを言っていません。
ときには研修や研究に費用と時間を費やすことをしながらも、地力をつけることで個人が一段ステップアップしていき、結果としてスキルや知識が身につき生産性が向上することのほうが、本質的な部分での「向上」といえるのではないかと理解しています。こうした意味では、費用を一部では使いながらも、相対的に費用を抑えていくという意味で「攻めのコスト削減」と言って良いかもしれません。
▽生産性向上と質の向上はバディ
生産性ばかりに目が行き、質が落ちることは厳に留意しなければならない事柄です。そうした意味では、単位当たりコスト削減の意味をよく考えることが有益です。
重複になりますが単位当たりコスト削減の具体的取組みは、業務フローの常なる見直しや職員個々のスキルの向上に視点があります。結果、質の向上に資する可能性がより高い経費削減の考え方といえます。
…ただ、この考え方はある程度現状に余裕がないと取組むことができないのも事実です。
目の前の資金繰りに困った状態では、「コスト絶対額の削減」が優先されます。
そうなる前に、日頃から「単位当たりコスト削減」の考え方を実践していくことが有効です。
投稿日:2025年11月1日
