同じ言葉を使う効用

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。

世界には、およそ6,900の言語が存在すると言われています(諸説あり)。国の数以上に民族があり、同じ民族でも住む場所で言葉が変わる分だけ言語の数もあるということでしょうか。今回のBlogは、そんな言葉にまつわる思いを書きしたためてみました。

 

▽言葉の働きの6分類

言葉は住む地域、つまり地理的な軸以外に、時間という軸もあります。500年前と現代では当然使う言葉は違いますが、同じ時代を生きる世代間でも使う言葉には違いがあり、言語は常に進化しています。「ナウい」なんて、もはやすっかりナウくありません。

 

言葉の働きについて、ヤコブソンの6分類というものがあります。日本語でも外国語でも、言語は次のような同じ働きを有する特性があると言われています。

1.主情的機能

 心や体の状況変化を外部に表出する機能。

2.詞的機能

 具体的な内容を伝達するよりも、メッセージそのもの(音の響き、リズム、形態、統辞、語彙など)に着目した機能。

3.働きかけ機能

 相手に訴え、相手を動かす機能。聞き手を何らかの行動に駆り立てる、一種の働きかけ。

4.交話的機能

 言葉を交わしあうこと自体が、互いの心を通わせ、一体感を高める働きをすること。

5.指示的機能

 内外の環境世界を、言葉という手段を使って解釈し、描写し、記録するという機能。

6.メタ言語的機能

 本来、事物や事象などの対象を語る「オブジェクト言語」に対して、言語そのものを語る機能。

 

「言葉」についてこのように分類してみると、合点のいく方も多いことと思います。私も書いていて、今回の記事で重要視したい部分、それは4の「交和的機能」という働きであることを改めて認識しました。

 

 

▽同じ言葉を使う効用

先日ある病院の看護師さんから、「看護記録に使用する略語を統一しようと思う」という相談を受けました。現状を調べてみると、確かに略語の使用にバラつきが多く、20人くらいの看護記録をみただけでも、バイタルに関することや処置に関する記録でバラつきが目立ちました。

この場合、さきにあげた言葉の働きとしては「指示的機能」に加え、直接言葉を交わすわけではありませんが、記録という媒体を通して同じ言語が使われ一体感が醸成される効果、つまり「交和的機能」による効果が期待されます。

人類の長い歴史において、言語の発展が学習能力を高め、かつこのことにより考えや成果を広範囲に伝えることができるようになったことで、文化は形成されてきました。

「文字」が伝える、認識を統一するという働きを劇的に高めることになりますが、文字の発展はずっとあとになってからの話し。古来から「言葉」が人々を結び付けてきました。

このことからも言語を統一した「組織言語」を使うことの効用が理解できそうです。

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