医療法人における非営利の定義を考える

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。

病院を運営している法人のもっとも多い形態に「医療法人」があります。

医療法人の形態を詳しく見ると、特定医療法人・特別医療法人・社会医療法人・医療法人社団/財団に分類されますが、厚労省が公表しているデータによれば、医療法人の数は令和4年3月31日現在、総数で57,141法人。このうち、医療法人社団が56,774法人で、さらに持ち分ありが37,490法人、持ち分なしが19,284法人などとなっているなか、1人医師医療法人は47,295法人と医療法人の8割以上を占めていることが分かっています(出所:種類別医療法人の年次推移 厚労省)。

 

ところで、この医療法人社団ですが、医療法ではその第7条第5項に「営利を目的として、病院、診療所または助産所を開設しようとする者に対しては、前項の規定にかかわらず、第1項の許可を与えないことができる。」とあり、第54条に「医療法人は、剰余金を配当してはならない」と規定されています。この非営利性が医療法人の特徴ですが、これが時に医療で儲けを出してはいけない」という誤解を招くことがあります。

 

“非営利性”を辞書で調べてみると、「経済的な利益を目的としないで活動すること。活動から生じた剰余金は、関係者間で分配せず、社会的・公共的な活動に再投資される(デジタル大辞泉)」とあります。 つまり、非営利だから利益をあげてはいけないのではなく、あげた利益は分配しないで組織の活動目的のために使われることが非営利であり、決して利益をだしてはいけないわけではないのです。

 

適正な利益がなければ、新たな事業や設備に投資する資金を捻出できないばかりか、株式会社ではない医療法人は市場から資金を調達できないがために、資金調達方法は金融機関等からの融資に頼らざるを得えません。

「利益は患者評価の証」です。 医療法人は医療サービスを提供するなかで適正な利益を上げ、職員の処遇改善や医療機器・設備への投資へ振り向けていくことが適当であり、法人が利益をあげてもその利益を出資者に分配しないのが非営利(非分配)である、ということを医療従事者は認識しておく必要があります。

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