医療機関におけるマーケティングということ

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。今日は「医療機関におけるマーケティング」ということについて、考えを書いてみたいと思います。

マーケティングとは、商品が大量かつ効率的に売れるように、市場調査~製造~輸送~保管~販売・宣伝等、商品が顧客の手に渡るまでのプロセスについて行われる企業活動のことを言います。販売戦略などが、マーケティングの代表的な例になります。

ここで、市場調査を「(商品の)販路や有効需要の動向に関する情報を得るための統計的調査」と定義するとすれば、多くの医療機関で市場調査が行われています。市場調査においては、内部環境と外部環境を調査・分析して、自らの強みや弱みを加味したうえで、方向性と戦略、戦術を思慮していくことになります。

 

マーケティングの基本概念

マーケティングの基本は、”顧客の価値を創造する”ということを念頭に、4P(Product:プロダクト「製品」)、(Place:プレイス「場所・流通」)、(Price:プライス「価格」)、(promotion:プロモーション「宣伝・販促」)という観点を通じ、自社の製品を市場でいかに売り出していくか戦略を練っていくわけですが、医療機関でも当然こうした概念は流用できます。

 

Product:プロダクト「製品」

医療機関でいうところの製品は、患者さんに提供できる医療と置き換えることができます。内科とか整形外科とか、あるいは手術とかが該当します。自らの強みと地域の諸事情を加味して、提供できるサービス(製品)が決まります。

 

Place:プレイス「場所・流通」

場所は駅前なのか、郊外の住宅地のなかなのか、幹線道路沿いなのかといったところになるでしょうか。ちなみに、現在の日本の制度下では「新しく病院を建ててベッドを増やす」ということはほぼできません。医療機関というのは、ベッドを20床以上もつ”病院”と、ベッド数は19床以下あるいは無床である”診療所(クリニック)”に大別することができますが、前者である病院病床は多すぎると言われており、今後は減少していく傾向にあるからです。こちらについての詳しいことは、また何かの機会にnoteにおこせればと思いますが、いずれにしても医療機関の場合のPlaceというのは、ある程度限られた条件下で開設されるということになります。

 

Price:プライス「価格」

国民皆保険制度がある日本では、医療機関で行われる診察や検査、手術や処置といった行為が原則として、診療報酬という公的価格で決められています。この診療報酬を請求するためには、国が決めたルールに則って診療や検査などを行わなければならず、ルールから逸脱する場合には、保険診療が適用されません。なので、この点についてはあらかじめある程度決まってしまっているといえます。

ちなみに保険適用ではないもの、いわゆる自己負担が10割の保険適用外のものを行う場合には、ある程度の値決めを自ら決めることができます。人間ドックなどがこれに該当し、こうした点で特徴を出すという点で、Priceという概念をもつことも重要であることが分かります。

 

Promotion:プロモーション「宣伝・販促」

販促(販売促進)はやや埒外かもしれませんが、営業という行為は、地域内での連携を行っていくためには必要な行動であると認識しています。WEBサイトを充実させたり、地域でセミナーを行なったり、地域紙を使って自院の紹介などをする領域がプロモーションになります。

 

こうして考えてみると、医療機関でも市場調査を行うことが、いかに重要であるかが分かるかと思います。「診療所を開設しました」とただ待っているだけでは、患者を集めることはできません。マーケティング的な思考をもち、増患対策を講じていくことが有効です。

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