医療機関における広報活動について考える

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。今回は「医療機関における広報活動」ということについて、考えてみたいと思います。

医療という無形のサービスには、「生産と消費が同時に行われる」ということや「消費者(患者)参加型のサービス」であるということ、また「情報の非対称性が大きい」といった特徴があります。なかでも、情報の非対称性が大きいということから、医療機関では広報活動が一定の制限を受けていることは、一般的にあまり知られていません。

 

情報の非対称性とは

情報の非対称性とは、製品やサービスの売り手と買い手の間にある情報量の格差のことを言います。この情報量の格差というのは専門性の高い領域で大きくなりがちで、身近な例でいえば、デジタルに関することや金融、そして医療などといった領域で、このような情報の非対称性は大きくなる傾向があります。

とりわけ医療の場合、”専門性が高く素人では理解しにくい”ことと、患者の不利益を最小限にするための「広告規制」があることで、患者となる私たちが受け取れる情報量が制限されているという事実があります。

 

広告規制:

もっとも医療における広告規制は、患者の不利益を最小限にするためにとられている措置という大前提がありますので、こうした規制を理解したうえで、自院のことをしっかりとアピールしていくことが、増患のためには重要な要素になってきます。

増患対策を考えるとき、直接的手段と間接的手段の二通りが考えられます。直接的手段とは、病病連携や病診連携による増患対策をいい、間接的手段とは、広報誌やホームページを使った広告戦略をいいます。

広報戦略でもっとも大事なことは、患者さんはどんなことを知りたいのかを推察し、患者さんが求めている情報を、コンプライアンスの範囲のなかで提供すること。そのためには、根幹となる広告規制のルールを知る必要がありますし、デザイン・アイデア・書く力といったスキルも磨いていかなければならないと認識しています。

 

 

広報活動を”啓蒙活動”という視点で捉えることも重要です。自院が標榜する診療科が診る範囲の疾病についての情報を地域に発信することは、人々の知識を蓄える手助けにもなると理解しています。人生100年時代。年金制度が不確実性を帯びているなかで、貯蓄から投資へという流れがあり、金融リテラシーを上げようという取組みが行われています。

このことと同じように、体のことを知り、病気のことを知る、予防を心掛ける。医療リテラシーというか、ヘルスリテラシーを身に着けることによって、少しでも多くの笑顔が増える世の中になると良いと考えています。広報活動は、啓蒙活動という側面も持たせることが有益です。

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