こんな時だからこそ、あえて増患について考えてみる

こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。

7月に入り、ジワリと感染者数が増加をはじめています。流行期のはじめに起こった受診控えが嘘のように、とくに発熱外来をしている医療機関では患者数が増加し、一部で医療従事者の疲弊度が増しているように感じます。こんなときに患者さんを集めることについて書くとお叱りを受けるかもしれませんが、医療機関の収益から「患者数」を除いて考えることはできません。

また、いまのようなコロナ禍で足元を見失ってしまうと、いざコロナ禍が引いたとき、診療報酬上の特例やPCR検査の数が増えていることによって上がっているであろう1人あたりの単価といったことを差し引いて客観的にみておかないと、元いた自分の居場所を見失ってしまうことも懸念されます。

今一度、足元を確認する意味でも、以下で増患ということについて考えてみたいと思います。

 

増患の必要性:

今はコロナを抜きに考えることができない状況ですが、高齢化による社会保障費の逼迫は本来的に避けては通れない議論でした。

医療費だけでなく、介護給付費も増加していくなかで、国内の経済成長はかつてのような勢いがなく、そこへ追い打ちをかけたのがコロナであったわけで、緊急的な救済措置としてセーフティネット保証や福祉医療機構による低金利の融資が行われたところですが、これらはあくまで融資であり、いずれは返済をしていかなければなりません。

しかし、診療報酬が上がる望みが薄かった昨今の改定をみても明らかなように、今後診療報酬が上がることは、社会情勢を鑑みても厳しいと言わざるを得ないのが、感情抜きで考えた場合の答えではないかと思われます。

 

すでに患者数は減っていた:

人口減少、医療の発展、理由は様々あるでしょうが、10年前と比べて入院患者数はすでに減少していることが、厚労省から出されている「病院報告」をみても分かります。

 

外来も同様で、長期処方が定着したこともあり、1人当たりの受診回数は先進国の中で多いといわれながらも徐々に減少してきました。

コロナ禍で特例的・時限的に認められているオンライン診療が拡大すれば、いかに増患するかというテーマがさらに難しさを増してくることも考えておかなければなりません。

とくに外来領域において、増患は一朝一夕にはいきません。病床がある場合、地域で必要とされる機能を有し、他医療機関と連携することで一定数を獲得していくことは見込めますが、外来は患者さん自身が選ぶことが多い領域です。

昔のような大病院志向が薄れてきているとはいえ、情報の非対称性という特徴が強い医療という業態にあっては、自院がどのような機能を有し、どのような特徴をもっているかを知ってもらうことが有効だと考えています。そのためには横の連携もさることながら、情報発信に努めるという姿勢も疎かにはできないと考えています。

増患対策に特効薬的なものはなく、日々積み重ねていく活動が、自院のブランディングへと繋がり、結果として増患へと帰結していくものと理解しています。

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