最近、「金利」という言葉を皆さんもよく耳にするのではないでしょうか。
バブルの崩壊、リーマンショック、そして震災と度重なる景気下押し要因のため、日本は長く景気低迷に悩まされ続けたため、「異次元の金融緩和」という掛け声のもと、景気浮揚のため銀行が貸し出すお金の金利が低く抑えられた一方で、私たちが銀行に預け入れたお金に対する金利もほとんど0に近い状態が長く続いてきました。
いつの間にか、失われた20年といわれた言葉は、失われた30年にまでその期間が伸びていました。
▼金利のある世界の常識「複利」
正直なところ、私も金利のある世界の景色をみたことがありません。銀行に預け入れている預金につく「利息」はいつも微々たるもので、金利の恩恵を肌で感じたことなどありませんでした。
ここでクエスチョンですが、仮に1年間の利息が1%の銀行に100万円を預けた場合、5年後に100万円はいくらになっているでしょうか?
… これは金利を考える場合によくある問題ですが、単純に100万円×1%が5年で1,050,000円と考えてしまうことがありますが、これは×です。
金利は複利なので、1年目に100万円×1%で1,010,000円になります。
2年目はこの1,010,000に1%の金利(利息)がつくので、1,020,100円。
3年目はさらに1,020,100円に1%の利息で1,030,301円
4年目は1,030,301円に1%の利息で1,040,604円
5年目は1,040,604円に1%の利息で1,051,010円となるので、最初の計算より1,010円ほど高くなっていることが分かるかと思います。
これが「複利」です。
誤解のないように書いておくと、複利は投資の場面でよく使われる言葉で、元本に対して得られた利息を再投資することで、合計金額にさらに利息がつく、つまり利息が利息を生んでいく、ということになります。
▼当然、貯めるほうだけでなく、借りるほうにも影響する
当然のことを書きますが、金利はお金を借りる場合にもかかります。年利〇%~という宣伝文句をよく見ると思いますが、金利が高くなれば返すお金に掛かる利息も高くなります。
そしてこれも当然ですが、借りるお金が多ければ多いほど、利息も多くなることをお忘れなく。
▼複雑な金利の世界
なぜ、「異次元の金融緩和(0金利)」だったのか。
世の中が不景気になると、会社は投資を控えようとします。…が、投資を控えるということは積極的な利益獲得を控えようということにも繋がりかねません。そこで、貸出金利を低く設定することで企業には積極的にお金を借りてもらい投資に回し、貸出金利よりも多くお金を稼いでもらい、景気を刺激する。結果、世の中の景気は良くなる…
…そんなシナリオが0金利政策だったと一般的には言われています。
つまり、景気が悪い時は金利は下がり、景気が良くなると金利を上げて調整が行われるというわけですが、実際には日本の景気低迷は長く続き、ようやくいま、金利が上がる局面に来ており、金利に関するニュースがにぎやかになってきているのです。
▼おわりに
ここ最近、事業計画作成のオーダーを多くいただいているなかで、借入〇億円の場合の返済シミュレーションなどをする機会が増えていたので、今回は金利のことを少し書いてみました。
ただ、冒頭にも書いたようにバブル期はまだ学生だった私は、実際には金利のある世界を経験したことがありません。金利のある世界。楽しみなようでもあり、どこか怖いようにも感じてしまいますが、そうした懸念をぬぐうためには、積極的に学んでいくのが一番の処方箋ですね。
2024年9月11日
オフィス謝府礼 代表 阿部 勇司