ここにきて、増患対応の依頼を受けることが増えてきました。
コロナ禍において患者さんの受診行動が抑制されたこと。
病院の機能分化やオンライン診療も少しずつ普及が進んでいること。
そして診療所の数が増加していることなどが背景にあると考えいます。
参考までに、10月1日時点の施設数について21年と22年を比較してみると、病院の数は21年の8,205に対し、22年は8,156と49施設減。一方で、一般診療所はというと、21年の104,292に対して、22年は105,182で890施設増えていることが分かります(厚生労働省 医療施設(動態)調査・病院報告)。
▼増患=営業・広報という勘違い
増患ということを考えたとき、もっともすぐに手を付けることができるのは、地域内での活動をはじめることです。自院の紹介資料をつくり、売りや強みをアピールするとともに、相手のメリットにも応えることなどを、直接相手に伝える。
また、定期的に勉強会や症例検討会などを開催し、自院のことをより深く知ってもらうという活動を展開するという方法があります。
ただこれは増患対策の一部分でしかありません。
増患ということにおいて取り組むべきことは、次のように整理することができます。
▼増患は総力戦
増患は結局のところ総力戦だと理解しています。
前線の攻撃隊(この場合営業等渉外活動にあたる人たち)ががんばったとしても、足元を固める守備隊(この場合病院であれば入院を受ける現場)が機能していなければやがて現場には混乱が生じ、前戦隊の頑張りを無駄にするだけでなく、地域からの信用を失いかねません。
前線部隊にしても、守備を担ってくれる現場のことを考えずに「これが自分たちの役割」などと、盲目的な正義感を盾に振舞ってしまっては、その攻撃が自分たちの基盤自体(この場合病院)を危機に陥れてしまう恐れすらあります。
そのため、事務方には攻撃隊・守備隊双方に戦況を正しく伝えること(この場合活動による成果報告等のデータなど)で、現場の士気を高め、出力の調整(この場合、目的達成のためにかける時間や費用等)を諮るためのフォローを徹底することが求められます。
当然のことながら、これら全体を経営層が統括し全体を上手くコントロールしなければ、これらの部隊はやがて統率を失い、個々に暴走をはじめ、ハンドリングが効かなくなっていく…。
経営層はこのようなことがないよう、増患対策の本質を理解しておくことが重要です。
▼いい組織と強い組織
先日、新聞記事を読んでいたら「良い会社と強い会社」というテーマのコラムがありました。
いい会社とはどんな会社で、強い会社とはどんな会社か。そんなシンプルな問いかけを通じて互いの認識の違いを知り、良い会社になるためにやるべきことは何か。強い会社になるためにやるべきことは何か、といたことを明確にすることで、最適解を見つけていく、というような内容の記事でした。
会社は「病院」や「診療所」あるいは「施設」に置き換えることもできますし、「組織」や「チーム」に置き換えることができると思います。
本質というのは、常にシンプルなものだと理解しています。
物事を難しく考えず、シンプルに思料するとともに、得た解を行動に移すことが必要です。
24年の診療報酬改定は、結構おおきなインパクトがあるものになると思われますが、行動するのに「遅すぎる」ということはありません。行動すれば、少なからず0を1にすることができ、その1歩から学ぶことができるはずです。
恐れず、ひるまず、勇気をもって、その一歩を踏み出していきましょう。
2024年2月4日
オフィス謝府礼 代表 阿部 勇司