こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。
終身雇用制度や年功序列といった考え方が薄れ、転職に対する意識も変わってきたと言われています。厚労省の「雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)」によれば、約10年前の平成22年度調査と令和2年度調査のうち、30~34歳・35~39歳の転職入職率(いずれも男性)を比較すると、前者で2.1ポイント、後者で1.1ポイント増加しています。
就職して脂が乗り始める30代でも、より良い環境を求めて人材が流動している事実があることが分かります。
▽集団の中の個のバランス
個の時代と言われます。この言葉が冒頭にあげた終身雇用や年功序列の対極にあるように使われることもありますが、果たしてそのような解釈は正しいのでしょうか。
組織でも個の意見が強くなっていたり、時折、労働者の主張が異様に強くなっているように思います。もちろん主張すべきは主張すべきですし、誤りや不正義に従うことを止む無しとするわけではありませんが、個を主張しようとするあまり、バランスを欠いてしまっているように感じることも多く見聞きします。
人個で生きていくことは、力のある人であればできることなのかもしれませんが、個で生きるよりも集団で生きるほうが能率が上がったり利益が増えるから、人は集団で行動することを選択してきたのだと理解しています。
集団として生きていくなかで、「自分」という一人称だけでなく、「私たち」という他人をも慮ることで、集団活動の質が上がり、引いては個の営みの質も上がってきたのではないでしょうか。
▽より良いIがWeを救う
格差の拡大、そして新型コロナ感染症の拡大が、つい最近までグローバル化と多様性を謳っていた私たちに本当にその気持ちがあるかを試すかのように分断を煽っているように感じます。
塊(集団)は分断されると他へつけ込む隙を与えることになります。分断は戦いを有利に進める常套手段であることを知る必要があります。
集団はIがあって成り立つものですが、それぞれのIが強すぎるとWeが成立しません。より良いWeは、Weに属するIにも利益をもたらします。
より良いWeであるために、より良いIでいることが大切なのだと考えています。